ウェルカムアワーズ

 眩しいくらいの太陽の下で幻を見るなんて、ちょっと納得できない。どんな天気だったらいいんだと言われても困るけど、せめて夜ならもう少し簡単にうなずけたかも。

 だってスイカには顔があるんだ。顔を持つスイカ。てんてんとん、と楽しげに階段を跳ねて跳ねて跳ねる、大きな口大きな目。

ころころりん、と転がって、ドアをきちんとくぐり抜け、計算されてたみたいに私たちの足元までたどり着いて止まる。

ゆらゆらと少し揺れて、ちゃんと正面を向いて止まった。こっちを向いて、にたりと笑って見せてる状態で。


「スイカだ」

「うん。……スイカだね」