ウェルカムアワーズ

「よーっ、葉月ーっ、こっちこっちだよーっ」

 そのさえこちゃんは食堂にいた。日当たりのいい窓側の席から立ち上がって、充分以上の大きな声を上げる。

お昼なんだから、当然学校中が昼休みで、食堂は人でいっぱいだった。こんなとこで、そんなところで目立たなくたって。


「なんだなんだー? すごい疲れた顔して。どんな被服だ?」

「さえっちの想像もできないすごい被服だったよ。もう、絵本な世界。電気の国の大反乱」


 よーちゃんは疲れきった声でめんどくさそうに、すごくおおざっぱに説明をした。さえこちゃんはキョーミ深げにうなずいていたけど、一通りの事情を聞くと、

「えー。それは見たかったんじゃない? 私。もったいないことしたな」