ウェルカムアワーズ

 かんかん、という音にはっとなった。階段をのぼる音だ、これは。

私の専属のガイドさんは、もう立ち止まってはいない。ひとつ上の踊り場にたどりつこうとしてる。

私はあわてて足を進めた。こんな場合じゃないんだった。


「小学生は学年百五十名。中学では二百名。高校での募集は、その欠員補充。編入って例外的で、その時に欠員がなきゃ認められないから、葉月ちゃんはラッキーだったね。一学期末でひとり、声楽で留学してったから」

「そう、なの」


 迷惑な、と私は思っていた。その人が留学なんてことをやらかさなかったら、私はここに来なくて良かったんだ。