ウェルカムアワーズ

 距離は同じくらいだったから、ショックは均等だったと思うんだけど、私より先に、よーちゃんが我に返った。びっくりした大きな声ではなくて、静かにつぶやく声。

「……何してんの。隆一朗」


「何って程のこともないんだけど」

 降ってきた松宮くんは、こっちも静かな調子で答えを返してた。包帯を巻いた手。きっちり直してるネクタイ。

まるで何も変わったことはしていないみたいな、ちゃんとした高校生のように見えてる。だけどこの人、今絶対変だった。

体育会系とかそんなモンダイじゃない。普通の一般の善良な一市民として、どう? 今の。すごくすごく変だよね?!


「なんでもなく二階の窓から飛び降りんのか、あんたは」

「そういうこともある」


 なに……、……それ。