それに造りとしては、難しくはない。基本的には新館と旧校舎の二つの建物だから、それさえ見失わなければ迷ったりはしないはず。確かに広い、大きな建物だけど。
これが私の学校。私の学校なんだ。立派な桜とけやき。前の学校は、巨大な樅の木が立ってた。
比べてどうだとかって言うんじゃなくて、ただ。ただ、もう戻れないんだなって、実感したような。今突然ここではっきりと。そんなのずっとわかってたことなのに。
「葉月ちゃーん?」
あ。
「はい」
等間隔の桜の一本先で、よーちゃんは待っていた。私は走って、すぐに隣に並ぶ。
「さくらんぼがなるよ、この木」
「え。食べれるの? それ」
これが私の学校。私の学校なんだ。立派な桜とけやき。前の学校は、巨大な樅の木が立ってた。
比べてどうだとかって言うんじゃなくて、ただ。ただ、もう戻れないんだなって、実感したような。今突然ここではっきりと。そんなのずっとわかってたことなのに。
「葉月ちゃーん?」
あ。
「はい」
等間隔の桜の一本先で、よーちゃんは待っていた。私は走って、すぐに隣に並ぶ。
「さくらんぼがなるよ、この木」
「え。食べれるの? それ」

