ウェルカムアワーズ

あ。思い出した。あの人のこと、小林少年とか思ってたんだっけ。さっきの運動神経とか、ますます条件を満たしてきたような感じ? どうやら機転が利くとこも。


「あ、被服室、こっち」

とか言いながら、よーちゃんは突然私の腕を引っ張った。


なんでこんなところにこんな出口が? と思ってしまうしかないドアを抜けて、古い校舎にとってつけたような新しいコンクリートの階段を降りる。


 中庭、だ。木の向こうに、新館の建物が見えている。


「変な学校で覚えづらいでしょ。ごめんね、ほんと」


 いえそんな、謝ってもらうようなことじゃ。例えそうだとしても、よーちゃんに責任はないのでは。まさか学校造ったわけじゃないんだから。