ウェルカムアワーズ

「これかなぁ。この変な、ネジ? これ?」

「テレビ支えてるやつじゃない? ホラ。いっこ欠けてる」


 よーちゃんは水しか入っていない水槽に手を突っ込んで、ネジに見えるものを探り出した。

それを近くにいた男子がつまみ取って、天井から吊られているテレビ台を指差した。


「危ないってばないよ。コバヤシ、直しといて。あと、ここ掃除」

「オレがなんで?!」


「だってあんた、見えるんだもん」


 まさしく何を食べたらそんなに伸びるんだろってとこまで、コバヤシくんは伸びているのだった。

そのおっきな彼を、よーちゃんは挑むように見上げたまま、ちょっとも動かない。


そして、コバヤシくんは負けた。先に目をそらしたのだ。