聞かれた。確かに聞かれた。 いいの、って。 だけど俺はその意味がよくわからなくて、適当に頷いたんだ。 まさか、あれがそういう意味だったとは。 でも…… 「俺、そんな話聞いてないぞ」 そんな話を聞いていたら……いや、聞いてても俺はこの部屋に入ってたけど。 マリカに彼氏が出来たら。 と、悩んでいた自分を思うと、小さな怒りが芽生える。 「そうだっけ? ごめん。忘れてた」 だけど、マリカはやっぱりマリカで。 俺は怒りを通り越して呆れてしまい、力無く笑ってしまった。