手のひらに桜のしおりを持った。
―来年、このしおりを持って、わたしは再びあの村へ行こう。
桜の森の満開の下、きっと彼がわたしを待っている。
彼の力が1番強くなる春の時期に、彼に会いに行こう。
それでもあの言葉は決して言わない。
わたしには、わたしを思う人がいてくれるから…。
彼の切ない願いは、きっとわたしだけに向けられたものじゃない。
そうじゃなければ、何人も行方不明者は出ない。
だからこそ、わたしは行くのだ。
彼のことを思い、彼のことを拒絶できる人として。
彼の力はそう遠くまでは及ばない。
だからこそ、わたしは引っ越してから彼のことを忘れていたのだ。
だけど今、彼の力の欠片である桜が手元にある。
これならば覚えていられるだろう。
今でも人を呑み込もうと待ち構えている、彼を―。
―来年、このしおりを持って、わたしは再びあの村へ行こう。
桜の森の満開の下、きっと彼がわたしを待っている。
彼の力が1番強くなる春の時期に、彼に会いに行こう。
それでもあの言葉は決して言わない。
わたしには、わたしを思う人がいてくれるから…。
彼の切ない願いは、きっとわたしだけに向けられたものじゃない。
そうじゃなければ、何人も行方不明者は出ない。
だからこそ、わたしは行くのだ。
彼のことを思い、彼のことを拒絶できる人として。
彼の力はそう遠くまでは及ばない。
だからこそ、わたしは引っ越してから彼のことを忘れていたのだ。
だけど今、彼の力の欠片である桜が手元にある。
これならば覚えていられるだろう。
今でも人を呑み込もうと待ち構えている、彼を―。

