外は粉雪が、ちらついている。徐々に牡丹雪へと重なりつつある。
(こんな風に、真白にリセットできないかな)
 恵利佳は佑子を振り返った。佑子は俯いている。
「又ね」
 恵利佳はその一言が言えない。佑子がたった一言を渇望しているのが、推知できる。
(言ってしまえ)
 恵利佳の脳の命令を、心が遮る。佑子は泣顔を上げた。

 恵利佳はぎこちない微笑みを残し、白銀を踏締めたのだった。