フワっと清潔な石鹸の香り。

さっきまで翔がいた場所。

まだ暖かくて。

でも1人だと寂しくて。


「早く出よう」


翔に会いたい。

会いたいよ。


「亜美?」

「え?」


扉の向こうに聞こえた声。


「翔??」

「そ、」

「どうしたの??」

「いやーなんか寂しくってさぁ」


同じ、気持ちだったんだ。


「わたしも。早く翔に会いたいって思ってた。」

「俺もっ」


同じ家にいるのに。

離れてから1時間も経ってないのに。


「もう出る・・・」

「じゃ俺部屋行ってるな」

「うん」


寂しさに勝てない。

急いで服を着て

ドライヤーで髪の毛を乾かす。


「よし。」


鏡で顔を確認する。


「笑顔。笑顔」


言い聞かせてリビングに向かう。


「ママーパパーッ。お風呂空いたよー」

「そっか、おやすみー」

「おやすみなさーい」