コーヒーカウンターに戻ると
遅番の子が出勤していて
副主任の話で盛り上がる。

副主任はコーヒーワゴンの
レディー達には大人気で
皆で副主任との会話自慢。

キャーキャー言い合いながら
絡み合っていると
私のケータイが鳴っていた。

「ケータイ鳴ってるよ〜」
『あっうん。』

時計を見ると5時を過ぎていた。


ヤバイ‥


一気に現実に引き戻された気分。

私は帰る支度をして急いで店を出た。

自転車に乗りながらケータイを見る。

着信3件 メール3件

この数字が怖かった。


自転車のブレーキは一度も使わず
立ち漕ぎ全速力。

チカチカになった信号にも
トラックで狭くなった道にも迷わず突っ込む。


クラクションが鳴らされても
振り向いてる余裕なんてない。


キキーッ!!!


ようやく私の自転車のブレーキに役目が来た。


家に到着。


乱れた息を整えながら階段を上り
玄関の鍵を開けた。

カチャッ‥