年下の王様

勝手に出てくこともできた。



だけどそんなことしたら余計立場が悪くなると思って素直に携帯を渡した。



「兄ちゃん…」

「心配すんな。疲れてんだから早く寝たほうがいいんじゃねぇか?」

「お風呂…入る…」



きっと遊吾はなんだかわかってなかったと思う。



だけど家の中の空気が悪くて遊吾もなんか悟ってるらしい…。



一緒に入った風呂でも微妙な笑顔だった。



陽菜…俺はどうしたらいい?



どうしたら会える?



疲れてるのに眠れず…。



寝てないせいかおかしなテンション。



「なんで制服着てんだよ」

「父ちゃん、ふたりでは会わないから。手芸部入って…ちょっとだけ…考えてくる…」

「わかった。約束破ったらお前はアメリカ、北川先生はクビだからな」




『夏休みが終わるまでに決めろ』



そう言われた。



もし、父ちゃんが理事長じゃなくて、陽菜との関係がバレたとしたら。



こんな猶予なんか与えてもらえないんだろう…。