年下の王様

帰って来いと言ったくせに、もし今陽菜が帰ってきたらどんな顔して会えばいいのかわかんねぇ…。



陽菜だって多少悪いとこはあったんだと思う。



だけど…。



陽菜を攻めるより、自分を攻めた方が幾分気が楽だ…。



離れてるのに陽菜を信じられなくなるくらいなら別れた方がずっといい…。



だから俺は信じてやるんだ。



陽菜の心を。



「兄ちゃん、ご飯だよ?」

「今行くから先に食ってな」

「うん…」



ピリピリした空気は遊吾にも伝わってしまったらしい…。



こんなんじゃダメだと思ってても、打開策が見つからない…。



陽菜が…。



陽菜の口から…俺を好きだって聞けてなくて余計に…。



お前は誰を想ってる?



こんなに待ってんのに…。



頭に入ってるのかわからない勉強を中断してメシを食った。



遊吾と向かい合い、無言の食卓…。



店はもう陽太に任せっきりになってる。



「兄ちゃんショーユ!!」

「ん!?あ、はい」

「どっか痛いの?」

「疲れてるだけだから気にすんな」

「寝るといいよ」



寝るといいよな…。