年下の王様

伝えられない…。



「揺れて…んのか?」



その声はすごく…すごく不安そうだった。



離れる前の斗和の泣き顔が頭を過ぎる…。



あたしは斗和を悲しませることしかしてない…。



ダメだ、あたし…。



「幸せにするって約束したのにっ!!」

「陽菜…?」

「あたしはなにもできてないっ!!斗和になにもしてあげられてないよっ!!」

「そんなもんどうだっていいんだよっ!!お前がそばにいればなにも望まねぇから…だから…」



やっぱりあたしは斗和が好きだ…。



離れてても実感する。



なんのために離れたのか、なんのために頑張ったのか…。



全部斗和がいたからっ!!



「ごめんなさいっ…」

「もう帰って来いよ…。頼むから…なにもしなくていいから…。俺のそばにいてくれ…」



縋り付かれるのは2回目で…。



自分のバカらしさに呆れる。



あたしはなんで辰衣先生のことを考えてしまったんだろう…。



大事なもの、なにひとつ守れてないくせに。