年下の王様

パソコンに向かうも、指が動かない。



なんて入れたらいいのかわからなくて…。



手が震える…。



見切りつけられるのが怖い…。



その日はあまり眠れず、仕事に行っても上の空…。



ボーッとしてしまう…。



気を抜けば絶対涙が流れそう…。



最悪なのは同じ職場ってこと。



軽い挨拶を交わしただけだった。



目を合わせられない…。



そう思ったらグッと誰かに腕を引かれてよろめいた。



「気にしてるの?」



それは紛れも無く辰衣先生で…。



日本語で話しかけて来ること自体珍しいこと。



「気に…してないですから…」

「揺れてくれたら嬉しいな。俺なら抱きしめてあげられるよ、今すぐ」



それは斗和に対する対抗心…。



漆黒の髪がサラッと揺れる…。



寂しいなんて思ってないもん…。



斗和とはちゃんと繋がってる。



だからあたしの心は絶対揺れたりしない!!



「いい加減にしてください!!辰衣先生のことなんてなんとも思えませんから」



あたしは斗和が好きなんだから。