こうやって否定するのも何度目かわからないくらい。



あたしの言葉なんて全く信じちゃいない亘先生…。



「でもリスクデカいっスよね~、理事長の息子なんて」

「何度言ったらわかるんです?人違いですってば」

「じゃあバラしても問題ないわけだ」

「どうぞ、ご自由に」



内心ドキドキ。



バラされたらあたしと斗和だけじゃなく、理事長も終わりだ…。



土下座してでもバラさないでほしい…。



あたしだけならどうなったっていい。



斗和の未来と、認めてくれた理事長だけはなんとか守りたい…。



「家以外でどうやって会うんスか?やっぱり空き教室とか?やべ、燃える~」

「亘先生…」

「はい?」

「今晩、ご一緒しません?」

「メシならいいとこ押さえますよ~」



余裕の表情…。



余裕の笑顔…。



あたしの予想ではこの人になにを言ってもダメだと思う…。



「脅すのとか趣味じゃねぇんで、ちゃんとするべきことは考えてくださいね?」



脅してるじゃん…。