年下の王様

その日の放課後、片桐君が進路指導室にやって来た。



進路の相談だとは思ってないけど…。



1日、なに言われるかドキドキしてた…。



「陽菜ちゃん、俺の大好きな友達が苦しんでる」

「…………」

「どうやって助けたらいい?」

「苦しんで…ないかもしれないよ?」

「ふざけんな。全部陽菜ちゃんのせいだろ」



わかってる…。



あたしが全部悪いってこと…。



よくわかってるよ…。



「俺は秘密は守るから。絶対言わない。誰にも言わない。だから陽菜ちゃんの本当の気持ち教えて?」

「言わない…?」

「言わない。斗和には言わない。俺の秘密も知ってるでしょ?」

「もう…見てるのが辛い…。学校やめたいっ…」

「元カレは?」

「いない…」

「斗和も苦しんでる。だけどアイツは泣いて女に縋り付くようなヤツじゃないから…」

「わかってる…」

「どうすればいいかわかるよね?」



あたしから行けってこと…?



自分で手放したのに…。



そんなこと…。