いよいよ花火大会という日。 「お仕事のあと花火大会に行きませんか?」 …… ぼんやり顔の娘たちに、 「意味が分かったか?」と尋ねれば、分からないと言う。 ああ、まったく。 「お父さんはお母さんやお前たちと同じだった。そういう話じゃないか」 にっこりと微笑んでやった。 懐かしい、今目の前にいる子供たちは性別は違えど何十年も前の自分た――― 恋に夢見るお姫様を前に王子様になれる。