「運命じゃない。お母さんが呉服屋に行こうと決めたのも運命だし、 わざと制服着たのも運命、なにもかも運命。 気付いたら運命ね、私はお父さんを好きになったのも運命。 自然なんかないのよ、いつも選択して生きているんだもの、それは運命。 情けないわね、お母さんの娘なのに知らないの? 運命って便利な言葉よ。運命運命、なんでも片付けれるわ」 「お母さんって…」 「オカン…て…」 「ママって…」 怖い、そう口を揃える娘に失笑するしかない。 「私は“出会って”からずっとお父さんが好きよ?」