「すいません、ちょっと来て下さい!」 背後からそう呼ばれたのは、 信也が水道でタオルを絞っている時だった。 振り向くと、体操着姿のこの学校の生徒が立っていた。 様子からして、どうも穏やかではない。 「先生、どうしたの?」 後ろから、道具の用意をしていた自校の生徒に尋ねられたが、 すぐに大声で「早く来て下さい」と叫ばれ、 きょとんとする彼女達に、 「ちょっと待ってろ」としか言えなかった。