私は、猫を空中で取り押さえるのに、身を乗り出していた。 がっしりと胴を掴むと、猫は怒って暴れた。 でも、それを気にする余裕は、無かった。 私は、自分のバランスを考えていなかった。 もっと早い話、落ちた。 オレンジ色に照らされたフローリングが、 頭の上に見える。 ワイン色の緞帳も眩しい照明のライトも、 何もかも逆さまだ。 目に映るものは、 どうしてだかスローモーションで流れて行った。