暗い夜の道。急いで帰ろうという意思は、私の中から消滅していた。
 
ただゆっくりと漕ぐ自転車の音と、ライトの唸る音が、

やけに大きく聞こえた。
 
どうしてだろう。

冬の夜は、静かすぎる。

少し前まで、当たり前に虫が鳴いていたのに。