しかし、それはあまりにも無謀な行動だった。 本棚と壁に囲まれて、コの字形になっているその場所の唯一の逃げ道は、 信也や司書や騒ぎを聞き付けた利用客が、続々と集まって来ていた。 そして信也が察するに、その男はナイフを威嚇に使っただけで、 本来の構えが全然なっていなかった。 その事が、余計に信也の怒りを大きくさせた。