通話が切れて、しばらくの間、私は無言のケータイを眺める。

目の前の、古びたアパートの一室から、漏れてくる光。

この中に、彼がいる。

私は、何故だか少し高揚しながら、リコールをした。

コールは1回、すぐに通話が繋がる。


『もしもし』


「もしもし、わたしメリーさん。今ね――」


そして、扉が開かれる。