すぐそこで、何かの音がする。 あたしは息を殺して、じっとする。 少しすると、その音は止まって、足音だけが遠のいて行く。 バタン、と扉が閉まる音が聞こえた。 あたしは、恐る恐る暗闇から出る。 光の見えた先には……真っ赤な血。 そして、お母さんが倒れていて。 その血が、お母さんの血だと分かった瞬間。 あたしは、叫んだ。 「お母さんっ!!!」