その女の子は、教室に入って来ても、俯いたまま黙っていた。 誰とも目を合わそうとはしなくて。 声すら発しようとしなくて。 そんな子に出会ったのは、初めてだった。 …その女の子は、結局何も言わなかった。 だから、代わりに先生が自己紹介したんだ。 「皆、映未ちゃんと仲良くしてあげてね。この街に引っ越してきたばかりだから。」 先生が、映未ちゃんの肩に手を置いてそう言った。