「なんてったって、彼女のお見立てだっつーし。いいじゃん、このブレスレット。

オレとさやもおそろいでつけるか?」


「彼女のお見立てって……えぇっ、それってまさか!」


当麻くんはハハッと笑うと、私を突然抱きあげバイクに乗せた。


「さ、早く帰ろーぜ。鶴のノロケなんか聞いてられっかよ」


「つっ……つるっ……鶴くん?」


「ゴメン、さやちゃんに黙ってて」


「ううん、いいよ。全然いいよ……。私もね、謝らないといけないコトがあるの」


驚いた。そう言えば鶴くん、竹刀サバキがタダ者じゃなかったの。


それって。なんとなく、通ずるモノが。


「鶴くんのフルネーム……知らなかった。

下の名前って、もしかして……」


「アハハ、同じクラスなのに悲しいな。

親が沖田総司や宮本武蔵が好きでさ……。剣豪、なんだよね」


“剣豪”! その名前、朝……誰かさんから聞いたハズ。


「月ちゃん……!」


「バ~イ、鶴」


当麻くんは私と鶴くんの話が途中だろうが、どうでもいいみたい。


片手をあげ鶴くんに挨拶すると、そのままバイクを発進させてしまった。