「ちょっ……待て! 当麻風邪ひいてるだろ? さやにうつしたら……わかってるだろーな」


こんな時にまで、お兄ちゃんやめてほしい。


香純さんの前でシスコンはなくない!? カッコ悪いよ。


当麻くんはお兄ちゃんに近付くと、「ゴホッゴホッ!」と大きな咳をしてる。


「そーっスね。じゃ、マスク借りていースか?」


「当麻がマスクしたら見た目ヤバすぎだろ!!」


プッ……。確かにそうかも。


それで鶴くんがさっき持ってた木材持ってたら、カンペキ。


結局お兄ちゃんの相手は香純さんがしてくれて、当麻くんと鶴くんの3人で喫茶店を出た。


「鶴、悪いけど今日だけバイク返して」


当麻くんが鶴くんに言うと、鶴くんも快く承諾してくれた。


「もちろん。元々絹川くんのだしね。ホント、オレが不甲斐ないばっかりに。

ゴメン、さやちゃんを全然守れなかった……」


鶴くんが当麻くんに頭を下げると、当麻くんは腰を屈め、鶴くんの顔を覗きこんでる。