「どう説得したの?」


「……ん? オレら今から帰るから、しばらく香純さんとふたりっきりになりたいですか? ってな」


「けど、それだけで許してくれたんだ?」


「いや。……実はさ、前にさやんち行った時あったろ。あん時に、流星さんと、ある約束事してて」


「当麻くんがスーツ着てきた日のコト?」


「そう。単刀直入に、『さや、ウチに泊めていいっスか?』つったらな。いきなり殴られそぉんなって」


「えぇっ?」


「けど、オレのマジな気持ち……率直に話した。

自分がこの先どうしたいとか、そういうビジョンを……な」


そう言って、少し遠くを見つめる当麻くん。


その『ビジョン』って、さっき香純さんが言っていたコトに通じるんだよね。


地に足をつけて、歩いて行こうとしている当麻くんが……


なんだかちょっぴり大人に見える。