「このソファは、オレの歴史だな。店たたむとしても、コレは戴いてくか」


「そうだね。アンティーク過ぎて、当麻くんの部屋には合いそうにナイけどね」


「だろ? そこが困りモンなんだよなぁ。行きつけの店で、誰か引き取ってくんねーかな」


なんて言って、笑ってる。


それまであったモノがなくなるのは辛いけど、


そうしなくちゃいけない場合もある。


いつまでも同じ形のまま取っておくコトは、できないのかな。


できれば……


当麻くんの想い出がつまったこのお店や土地を


手放すコトを避けたいし、なんとかしたい。


だけど、


なんの力も持たない私たちは無力で……


今の時点では、どうするコトもできなかったんだ。