――トントン。


うわ。


突然、階段をのぼる音が聞こえてきた。


当麻くんの胸に顔を埋めると、優しく抱きしめ返してくれた。


「……爺さん帰ってきたか?

あれ、爺さんの足音。大丈夫、この部屋までは来ねーから」


当麻くんは瞳を閉じ、笑みをつくる。


「お爺さんの足音……わかるんだ?」


「そりゃな。長年の慣れっつーか。ガキん頃、『この部屋で大人しく待ってろよ』って言われてな?

爺さんが仕事終えて2階にあがってくんのを、このソファに座ってジッと待ってたな……」


「そうなんだ……」