「当麻から将来のコト、聞いてるか?」


片田さんが突然私に話を振ってきた。


「将来……です、か?」


そう言えば、『就職したい』って言ってたっけ。


そして、『卒業したら一緒にすみたい』……とも。


戸惑ってると、香純さんが片田さんの肩をポンと押した。


「仕事、戻らなくていいの? あとは私が話すから」


「あぁ、そうだな。

……当麻が、さやちゃんにベタ惚れっていうのを、いつも聞かされてるよ。

じゃ、また」


そう言い残すと、片田さんはお店を出て行った。


当麻くんが……私にベタ惚れ?


そうなのかな。


それなら、夏休みもっと会ってくれるハズだよね。


どうして、デートもしてくれないんだろ。


カウンターの席に座りながら、香純さんに聞いてみる。


「香純さん……、当麻くん忙しいんですか?

最近あんまり、会ってくれなくって」