「そっ、そんな突っかかってこないでよ。ただ似合うって言っただけなのに。

さや、絹川当麻にこっちも買ってあげれば?

鶴の言う通り、絹川当麻に似合いそー。さやが買ってる間にトイレ行ってくる!」


月ちゃんはそう言うと、私たち二人を置いて、さっさとこの場を去ってしまった。


「月ちゃん怒ったかな……」


鶴くんが申し訳なさそうに、そう呟く。


「うーん。多分、鶴くんにあぁ言われて驚いたんじゃないかな。月ちゃんも悪気あったわけじゃないからね。

ホントに鶴くん、前髪上げた時、似合ってたよ?」


「そーかな。自分じゃ、浮かれてるかなーって思ったりしてさ。

家帰って鏡見たら……なんか違うなって。ほら、中身がヤンキーじゃないし」


「あはは……」


鶴くんが当麻くんみたいになったら、今と全然違う人だもんね。


「オレ、当麻くんみたいにケンカも強くて男らしくて……そんな性格だったら良かったのにな」


「そんな! 鶴くんは今のままでいいよ。ただ月ちゃんは、こういうのも似合うかもよ って……ね?」