ドキドキ。


ヘンな人に声かけられたらどうしよう……。


「さやちゃん!」


へっ?


窓の向こうから現れたのは、なんと鶴くん。


「えーっ、鶴くんどうしたの!? びっくりしたー」


「今から買い物行く所。さやちゃんに似てる子がいるなーと思ったら……本人だった!」


嬉しそうに話す鶴くんを見て、思わず笑顔がこぼれる。


「気付いてくれてありがとう。それにしても……」


鶴くんに不似合いな、黒塗りの車。ゴツイし、どちらかというと、当麻くん寄りのニオイが……。


私の視線を感じ、鶴くんは「ははは」と照れ笑い。


「父親の趣味でさ~。あ、どう? なんだったら乗ってく?」