幸せそうな2人を見送りながら、芽生えた気持ちを伝える事もできずに封印したあの日からいつしか時は経ち…。


朝夕に少し肌寒さを感じさせる秋になっていた。


夏の終わりは何だか物悲しい。だけど今年は特に悲しい。


あれから何度か仕事のことでチカと話したり打ち合わせしたりあったけど、もう前のようにはいかなかった。


俺自身浮かれ気分じゃないし、冗談言って笑わすこともできなかった。


本当に俺たちは“上司と部下”になった。


だけど…やっぱり体は正直なもんで…。


目が勝手にチカを追ってたり、心臓は名前を呼ばれる度にはねあがってたり…もうお手上げだ。


でもチカはいつだって普通なんだ。

俺がこんなにもチカでいっぱいになってたって…普通なんだ。