診療代を払い産婦人科を後にした マンションへの帰り道 ポチが微笑みながら話し掛けてくるけど言葉なんて耳に入らない 赤ちゃんはいなかった? 嬉しいはずなのに…なぜか喪失感が残る 心にポカンと穴が空いた…そんな気がする 「……な…かちゃん…………なな…かちゃん…!…奈々佳ちゃん!?」 「へっ?」 ポチの呼び掛けに顔を上げると 「部屋に着いたよ?」 「あっ、」 いつの間にか部屋のドアの前にいた