「あっ?
お前等、何やってんだよ?」
「…ふっ…グスッ…ヒック…っ…グスッ」
先生に泣き声を聴かれたくなくて必死に声を圧し殺すけど
口から嗚咽が漏れる
「先生、いまいいところなんです
邪魔しないでもらえますか?」
ポチは冷静でいつもより低い声で先生に話し掛ける
そして
肩を震わせて泣く私をより強く抱き締める
「奈々っ…いや、藤井に用があるんだ
ちょっといいか?」
先生が私の腕を掴んだ
“汚い”
「いっ…嫌ぁ!!!!」
先生の腕を力の限り払い除け
ポチの胸元に顔を埋めた
私のこと“汚い”って言ったくせに
赤ちゃんが出来たって知らん顔したくせに
今さら何の用があるっていうの?

