ベランダに出ると夜風がカラダに当たって気持ちが良い。 手すりに手を掛け ぼーっと街並みを眺めていると ─カラカラ… とベランダのサッシが開く音がして 「奈々佳ちゃん」 ポチに声を掛けられた。 「なに?」 街並みを眺めたまま返事をすると 「部屋に入ろうよ?寒いでしょ?」 「部屋に入りたくないし寒くない 夕飯全部食べた? 私が作ったんだから残さず食べてよね」 「……なんで怒ってるの?」 「怒ってない」 「怒ってるし(笑)」 そう言うとゆっくりサッシを閉めて 中に入ってしまった。