Ⅹ-story-クロスストーリー


「………。」

相手の胸を蹴り抜いた後、怒りに震える相手とは裏腹にカミヤは不思議なほど冷静に対処している自分に違和感を覚えていた。
記憶を失っているにもかかわらず、頭で考えるより早く自分の体が動く。
それも不良の喧嘩などとは全く違う、野性的だが洗練された動きを。

体が動いた後、次にどうすべきなのか、どうすれば素早く相手を屠れるのか思案している事に気がつくがこの場で疑問を解決しようにも、相手もそう長い間待ってはくれない。
再び接近し、今度は軽いスナップを利かせて連続で斬りかかる短刀を再び足で弾く

「その靴…鉄板でも仕込んでんのか…?っ…なんで斬れねえんだよ…っ。」

「軽量の刃物は押し潰すだけではその威力を発揮しない…相手に合わせて受け流せばいいだけの事…。」

そこまで言ったところで、カミヤの頭に鋭い痛みが走る。
戦いに集中すればするほど変わっていく口調や思考、それが呼び水となって頭の中の何かが決壊するような気持ちの悪い異変。
数瞬にも満たない時間、そのせいでカミヤの意識が止まった。

「…貰った!」

ハッとするも時すでに遅く、今度は体を捻じらせ回転させると銀髪の男はカミヤの首元目掛け短刀を動かした。