Ⅹ-story-クロスストーリー

極限の緊張感と混乱の中、這いずるように森の中を逃げようとするのだが突然自分の背後からさっきまでの気配が消えていることに気づく。

…助かったのか?
その希望的な考えがレビィの頭をよぎった時、全身の力が抜けた。

「は……ハハ、そうだよ…これは幻覚かなんかだったんだ、じゃなかったらボクがあんな半死人から逃げるはずが…。」

自分の口から『逃げる』という言葉を発していた事に、この時レビィはまだ気付かなかった。
呼吸も落ち着き始め四つん這いの状態から立ち上がろうとした瞬間、脳に直接打ち込まれたような言葉と激痛。

「誰が立っても良いと言った?」

奴隷や家畜に対し、自分よりも格が上だと体に理解させるように。
うつ伏せになっている少年を踏みつぶす右足の主人は、この学園にいる誰よりも『邪悪』に映る…。

「う…むぐぅ!?…うぉえ!!ぐむ……!?」

足で頭を抑えられ、顔を土に圧しつけられたまま呼吸が出来ず、涙を流しながら嗚咽を垂らす特待生を誰が想像出来るだろうか?
踏みつけている男もまた、レビィがどれだけもがいても表情一つ変えなかった…まるで抑え付けているかのように。
2分…いや3分だろうか?それは呼吸困難な人にとって気の遠くなるほど長い時間なのだが声の主人は計算していたかのように口を開いた。

「一つだけ…礼を言わせてもらう。」