DesTroMentaL ParaSity ―デストロメンタル パラシティ―


『……え、これは何?』


今し方尻餅をついた場所
から僅か数センチ先に、
制服を朱色に染め上げた
初老間近の男性が脇腹を
押さえながらぐったりと
倒れ込んでいる。

あたかもそれを覆い隠す
ように、見頃を迎えるは
ずだった木蓮の花々が無
残にも散らばっていた。




あまりにも衝撃的すぎる
光景に、少女は些か取り
乱して大粒の涙を浮かべ
つつも急いで彼の元へと
近付いていった。


「――守衛さん、よね?
一体どうしたの?」

「お、お嬢様……私めが
不甲斐ないばかりに」

「しゃべっちゃ駄目っ!!
今人を呼んでくるから、
少しここで待ってて!!」


弱々しく震える彼の手を
握り締めた少女はそう言
って必死になだめると、
すぐさま屋敷に戻るべく
足を踏み出そうとした。

ところが、それと同時に
背後から靴と砂の擦れる
音が聞こえてきた。




ジャリッ




「ほう、こんな所にまだ
ガキがいるとはな」

「――――!!!!!?????」


威圧感漂う野太い声を耳
にするなり、少女はえも
言われぬ恐怖で思い切り
体を硬直させた。