「それに、私のような下
っ端一人捕らえたところ
でボスの居場所が分かる
わけないだろう?」

「――――貴様っ!!」


尚も嘲笑を携える彼女の
言葉を受けて、遂に逆上
した男は思い切り右手を
振りかざした。

その瞬間、未だに初々し
さの残る青年がけたたま
しい音を引き連れて部屋
に転がり込んできた。




パタパタパタパタパタッ
バターーーーーーーーン




「警部っ!!先程GUlLTYの
一員を捕まえたとのこと
ですけれども……」


予期せぬ彼の登場で見事
にタイミングを削がれた
男は、些か間抜けな声を
上げるほかなかった。


「ああ……コイツだ」


男に促されるまま、青年
は机に目を向けるとすか
さず少女に詰め寄った。


「お、お願いです!!これ
以上街を鮮血に染めるの
は止めてくださいっ!!」

「――赤の他人が死のう
が生きようが関係ない。
私はただ、ボスの指示に
従ったまでのこと」


青年の涙ながらの懇願も
虚しく、少女はそっぽを
向いて華麗に一蹴した。