「――もうそろそろ話し
たらどうなんだ?え?」


先程から沈黙を守る少女
にとうとう痺れを切らし
たのか、男は気だるそう
に言葉を紡いでいく。

すると、彼女はいかにも
挑戦的な双眸を真っ直ぐ
に男の方へと向けた。


「……嫌と言ったら?」

「吐かせるまでだ」


男はそう言って勢い良く
立ち上がると、すぐさま
彼女の頬めがけて思い切
り腕を振り下ろした。




バチーーーーーーーンッ




「貴様らが今まで犯した
罪は、これくらいじゃ償
いきれねぇんだよっ!!」


怒りのあまり口汚く罵る
男とは対照的に、少女は
よろめく体を立て直すと
徐に視線を上げていく。


「人を殺して何が悪い?
道徳的にか?笑わせる」


次第に熱を帯びる左頬を
抑えながら、その少女は
“冷酷”なまでにせせら
笑いを浮かべていた。