「ここは………一体?」
タバコの煙と独特のカビ
臭さが暗がりの部屋全体
を覆う中、少女は例え難
い不安感で当分の間その
場に立ち竦んでいた。
「GUILTY、いわば俺達の
アジトってわけだ」
「――“GUILTY”?随分
とあからさまなのね」
些か物騒な組織名を耳に
するや否や、少女は思い
切り眉をひそめた。
「この先、世界をまたに
かける犯罪組織に仕立て
上げるんだ。それくらい
はしねぇとなあ」
しかしながら、男は構う
ことなくさも楽しげに八
重歯をちらつかせた。
どこか無邪気な態に呆れ
つつも、少女はふと頭を
よぎった疑問を言うべく
恐る恐る話を切り出す。
「……ねえ、何で貴方は
突然私の家に来て守衛さ
んに酷いことをしたの?
やっぱりお金が目的?」
あまりにもストレートな
物言いに、男は一瞬たじ
ろぐもののすぐさま口端
を上げ少女を一瞥した。
「それ以外に何がある?
殺さなかっただけマシだ
と思うんだな」
僅かな甘えすら蹴散らす
かの如く、男は実に冷や
やかな笑みを浮かべた。



