DesTroMentaL ParaSity ―デストロメンタル パラシティ―


「――その歳で俺に意見
するたあ、なかなか肝の
座った嬢ちゃんだ」


つい先程までの凶暴さは
どこへやら、男は次第に
目を細めると何の前触れ
もなく少女の腕を思い切
り引っ張った。


「加えて、上に立つ器量
もありそうだ……気に入
った。俺についてきな」


突然の申し出に内心驚き
ながらも、少女はそれを
おくびにも出さず尚も口
を開いていった。


「……ついていったら、
これ以上守衛さんに乱暴
しないでくれる?」

「ああ、約束しよう」

「なりません、お嬢様!!
そやつらはあの……」


矢継ぎ早に発せられた声
を耳にして、男は不快と
ばかりにもう片方の腕を
守衛の方へと伸ばした。

それに素早く気が付いた
のか、少女は目の前の巨
体を力一杯押し返すと再
び男を正面を見据えた。


「――分かったわ。早く
連れて行って頂戴」

「お、お嬢様っ!!」

「大丈夫、すぐ戻るわ」


守衛の心配をよそに少女
は顔を綻ばせると、男の
なすがままに住み慣れた
屋敷をあとにした。




――こうして、彼女は奇
しくも“令嬢”との決別
を果たすことになる――