今夜で僕の人生が終わる。なんだか呆気なかったな…。世界中では1日に沢山の人が死んでいる。テレビで見たときは何とも感じなかったのに、自分の事になると、すごく大変なことの気がする。人間ってここまで他人に無情に出来るんだ…。



今夜、僕は死ぬ。僕が死んだら、過去形で語られるのだろうか?世界に生きた証を残さず、記憶の中で飾られて、消えていくのだろうか?



ふと見上げると、母さんの小物入れが置いてあった。忘れていったんだろう。なんとなく、本当に何も考えずに僕は小物入れを手にとった。中には、自動車の免許証、小銭、定期……保険証…。僕は保険証をとり出し、眺めた。僕が死んだら、保険証はどうなるんだろう?