「なにか、食べたいものとかない?」

あぁ…まただ……。5日目の朝、例によって母さんが訊いた。

「ない」

僕が言うと、少し目をウルウルとさせ、病室を出ていく。母さんを喜ばせたいけど、僕の我が儘で母さんが喜ばせるなんてイヤだ。



あと…2日なんだ……。もしかしたら…3日、4日と延命が出来るかもしれない。僕は、丈夫らしいし………。そんなわけない!見えてきた希望を再び闇に返す。なにより体が感じているんだ、死が近いって。