「やろう、おはぎ」


真司はなぜか急に態度を一変させて私の方を向いてきた。


その訳は分からなかったけれど、私は私で部活の練習に遅れが出てしまいそうで引き受けるのをためらっていた。


「お願い、吉澤さん」


こうなると、星先生は私を集中して説得にかかる。


こんな風に頼み込まれると断れなくなってしまう。
きっと星先生なら、私のこういう性格を見据えて頼んできているような気がした。


「……じゃあ、できる限りやってみます」


もう引き受けるしかない空気に、私は仕方なくうなずいた。


「助かったわ~!早速今日から実行委員会があるから、毎週金曜日の放課後に必ず参加してね」


「え、今日から!?」


あまりにも急な展開で驚く私たちを尻目に、星先生は両手を上げて喜んで、それから新しいノートを私の手に預けてきた。


「うん、今日から。これ、実行委員会でメモするときに使ってね」


なんとなく、星先生の思惑が分かったような気がした。


きっと彼女は修学旅行の実行委員を決めるのを忘れていたのだ。
それで慌ててピンポイントで生徒に声をかけたに違いない。