衝撃が大きすぎて、しばらく経ってもなお私は心臓がバクバク大きな音を鳴らしていた。


その場で動けないでいると、やがて芦屋先生が私に話しかけてきた。


「秘密にしてって言われたね」


「は、はい……」


おそるおそる芦屋先生を見上げると、彼もまだ信じられないといった表情だった。


「困ったな……」


そう先生がつぶやいた。


私は芦屋先生の袖から手を離すことも忘れて、掴んだまま


「困りましたね……」


と、うなずいた。








私と芦屋先生だけが、知っている秘密。


徳山先生が生徒と付き合っているという秘密。









私たちだけの、誰にも言えない秘密ができた。